不動産クラウドファンディング協会についてご存知でしょうか?
国内の不動産クラウドファンディング業界で2023年に、「一般社団法人不動産クラウドファンディング協会」と「日本不動産クラウドファンディング協会」が相次いで設立されました。
今回の記事では「一般社団法人不動産クラウドファンディング協会」と「日本不動産クラウドファンディング協会」について焦点を当てていきたいと思います。
一般社団法人 不動産クラウドファンディング協会
一般社団法人 不動産クラウドファンディング協会とは、不動産クラウドファンディング業界の信頼性、透明性、認知度の向上を目的として2023年8月30日に設立された、不動産クラウドファンディングサービスを提供する事業者の業界団体になります。
「不動産クラウドファンディングサービスを提供するプレイヤー数が多くなり、業界規模が拡大する中、客観的・中立的立場から業界全体を俯瞰する機関が必要」との考えをもとに、不動産クラウドファンディング市場の発展を促進すること、また個人投資家の保護を目的として設立されました。
CREALが中心となって立ち上がった協会になります。
活動目的・内容は以下の通りになります。
■活動目的
不動産クラウドファンディング業界の信頼性・透明性・認知度の向上に寄与する活動を行うことで、
業界発展拡大に寄与することを目的とし、次の事業を行う。
1.不動産クラウドファンディングデータベースの公開・更新
2.不動産クラウドファンディング業界のマーケットレポート・ホワイトペーパー等の定期的な開示
3.不動産クラウドファンディング業界ルール・ガイドラインの制定
4.ブロックチェーン、STO(セキュリティ・トークン・オファリング)の活用可能性の研究
5.その他当法人の目的を達成する為に必要な事業
6.前各号に掲げる事業に附帯又は関連する事業
※公式ホームページより引用
■活動内容
活動内容は、主に下記3点になります。な
①データベースの公開・更新
②ルール・ガイドラインの制定
③マーケットレポート・ホワイトペーパー等の定期的な開示
①データベースの公開・更新
不動産クラウドファンディングサービスの情報を、中立的な立場で重要な事項についてより深く開示し、頻繁なデータ更新を行っています。
協会会員メンバーだけでなく、広く一般個人投資家へ公開するシステムも構築しています。
登録・開示するデータ内容は、
□ファンド組成時
・物件情報
・調達金額
・想定利回り
・鑑定評価・ER・金銭以外のリターンの有無
□ファンド運営/終了時
・当初契約期間の延長の有無
・物件の譲渡先
・実績利回り
となっています。
②ルール・ガイドラインの制定
行政機関と事業者との「橋渡し」として機能するために、
●ガイドラインの周知徹底
●行政機関からの相談窓口
●新規要望の吸い上げ・提言
●パブリックコメント等のとりまとめ
などを行っています。
③マーケットレポート・ホワイトペーパー等の定期的な開示
業界全体を俯瞰するレポート(サービス数や業界の規模、アセットタイプ別調達額、利回りの推移、ブロックチェーン・STO活用研究など)で業界内外や行政に有用な情報発信を行っており、各種分科会(認知度向上のための施策検討会や、税制についての検討会・要望とりまとめなど)を開催したり、意見交換なども行っていたりします。
■理事・監事
代表理事:横田 大造(クリアル株式会社 代表取締役社長)
理事:大島 均(トーセイ株式会社 取締役執行役員)
理事:室谷 泰蔵(株式会社エー・ディー・ワークス 取締役執行役員)
監事:成本 治男(TMI総合法律事務所 パートナー弁護士)
不動産クラウドファンディング協会の理事・監事を務めるのは、上記のメンバーになります。
また、アドバイザーとして、
一村 明博(エンジェルナビ株式会社 代表取締役COO)
落合 孝文(渥美坂井法律事務所 弁護士)
の2名が名前を連ねています。
■加盟事業者
2024年8月現在の加盟事業者は下記のようになります。
【正会員 ※五十音順】
株式会社青山財産ネットワークス
株式会社アセットリード
穴吹興産株式会社
株式会社イーダブルジー
株式会社ウッドフレンズ
株式会社エー・ディー・ワークス
株式会社エボルゾーン
株式会社えんホールディングス
クリアル株式会社
株式会社グッドコムアセット
グローシップ・パートナーズ株式会社
香陵住販株式会社
サンフロンティア不動産株式会社
JRD株式会社
株式会社タスキ
TECRA株式会社
株式会社TRIAD
トーセイ株式会社
株式会社フロネシス
株式会社ファンドクリエーション
株式会社フィル・カンパニー
フィンテックアセットマネジメント株式会社
株式会社フェイスネットワーク
ヤマワケエステート株式会社
株式会社リバイブル
株式会社リビングコーポレーション
株式会社ワイズホールディングス
【法人会員 ※五十音順】
日証金信託銀行株式会社
株式会社Lifeplay
株式会社レプス
日本不動産クラウドファンディング協会
日本不動産クラウドファンディング協会は、不動産クラウドファンディング市場の信頼性と透明性を向上させ、投資家保護を強化し、健全な市場の発展に寄与することを目的としている協会です。
また、こちらの協会はCOZUCHIや利回りくんといった事業者が中心となって立ち上がった協会になります。
主な活動内容として、
1.地域活性化への貢献
不動産クラウドファンディングを通じて空き家や遊休不動産の利活用を進め、地方都市における混合型施設の開発など地域課題の解決を目指す。
2.自主規制ルールの策定
投資家保護と市場の健全な発展のため、自主規制ルールを策定し、新規事業者が安心して参入できる環境を整備する。
3.貯蓄から投資への機運醸成
少額から始められる不動産クラウドファンディングを普及させ、資産形成の促進を目指す。また、金融教育の一環として、国民全体の金融リテラシー向上に貢献する。
上記3点になります。
協会概要は下記のように記載がありました。
2017年の不動産特定共同事業法(FTK法)改正以降、不動産クラウドファンディングは、国土交通省主導の国策として、市場規模、参入事業者、案件数、いずれも拡大しています。
不動産クラウドファンディングは、空き家や遊休不動産の利活用、地方都市における混合型施設の開発など、地域課題解決の一助となり得る一方で、好循環を生む制度設計に向けて、国や地方自治体と業界全体が強力に連携を推進していく必要があります。
また、テクノロジーとの親和性も高く、市場動向は刻一刻と変化をするため、民間側が率先してルールのアップデートや倫理的な問題へ取り組むことが重要となります。
具合的には、新規参入事業者が増えている一方、事業者の質が十分に担保されていないため、事業者と投資家の間でのトラブルなど、業界全体のイメージを損なう事象が発生しています。
さらには、貯蓄から投資を促す金融教育とも親和性が高く、その入口としての役割も期待されます。
当協会は不動産投資市場の新たな潮流への対応について、自主規制ルールの策定や関係省庁への政策提言を行うとともに、地域活性化等の地域課題解決を通じて、投資家保護、市場の健全な発展、更には我が国の経済成長に寄与していくことを目指してまいります。
※公式ホームページより引用
立ち上げで中心となった事業者
次に、協会の立ち上げで中心となった不動産クラウドファンディングの事業者についても、軽くご紹介したいと思います。
「CREAL」
1万円から投資ができるほか想定利回りも年利4.3%と好条件のcrealは、上場企業が運営しており、償還実績元本割れ0件と安心感のある事業者になります。
また、個人だと投資が難しい保育園、専門学校、一棟レジデンス、ホテルなどにも投資可能で物件やマーケットの情報を詳細に開示しており情報の透明性も高いところも大きな評価ポイントです。
想定利回り:4〜8%
運用期間:4〜24ヶ月
最低出資額:1万円
対象物件:マンション・アパート・商業施設・オフィス等
「COZUCHI」
最低1万円から投資を始められ、安定した利回りが得ることが可能なCOZUCHI。
好条件での売却が成立した場合、配当利回りに上限無くフェアに利益を分配する仕組みを導入しています。不動産のプロが選んだ物件に投資できるほか、運用期間中でも解約して原本を回収できるため、気軽に投資することが可能な事業者です。
想定利回り:4〜10%
運用期間:1〜120ヶ月
最低出資額:1万円
対象物件:マンション・アパート・商業施設
「利回りくん」
利回りくんを運営しているのは株式会社シーラで、親会社である株式会社シーラテクノロジーズは、米国のナスダック市場に上場しているため、運営会社の信頼性は申し分ありません。
2024年7月時点では、利回りくんの会員登録数は国内No.1で、なんと27万人を超えています。
不動産クラウドファンディングという名目ではありますが、直接的な不動産への投資だけでなく、さまざまなプロジェクトへの応援投資することが特徴です。
想定利回り:4%前後
運用期間:3〜12ヶ月
最低出資額:1万円
対象物件:都心のオフィスビル, 東京や地方都市を中心とした共同住宅(複数の物件)
まとめ
同じようなタイミングで「一般社団法人不動産クラウドファンディング協会」と「日本不動産クラウドファンディング協会」、2つの協会が立ち上がりました。
一般社団法人不動産クラウドファンディング協会は「CREAL」、日本不動産クラウドファンディング協会は「COZUCHI」「利回りくん」と、それぞれ力のある事業者が中心となって立ち上がった協会であり、どちらが業界を先導していく存在になっていくのか、すでに注目が集まっています。
今後の活動に期待が高まりますね。
監修:越智正道
東京都文京区にて税理士事務所を経営。
ファイナンシャルプランナーとしても活動しながら、税理士業務では、記帳代行、試算表の作成、ペイロール代行、決算書類の作成、経営分析、税務申告など、多岐にわたるサービスを提供。
クライアントには、IT関連、ブライダル、化粧品開発、飲食業、医療関連など、さまざまな業種が含まれており
相続対策や事業承継、IPO支援、人事・労務管理指導などの分野の知見も広く持つ。
特に、NPO法人や金融資産関連の税務コンサルティングに力を入れており、幅広いニーズに応えることを使命としています。
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