不動産クラウドファンディングについて調べると、「不動産クラウドファンディング やめとけ」などとネガティブな言葉が候補に上がってくることがありますよね。
なぜそんな言葉が候補にあがってくるのか、またどういったことがそのような言葉に繋がってくるのか。
今回はその言葉の意味について深掘りしていきたいと思います。
不動産クラウドファンディング
否定的な言葉の意味をより知るためにも、まずは不動産クラウドファンディングについて簡単に説明します。
クラウドファンディングとは、投資家から資金を投資してもらい、集まったお金でひとつのものに投資することを指します。
投資したもので得た利益は投資家に分配されるため、投資した側は手間なく資金を得ることができます。
そして、不動産クラウドファンディングは物件などの不動産に投資することを指します。
分配されるのは出資した金額に合わせて全員に分配されるため、利益が多ければ多いほど得られる利益も大きくなります。
ちなみに不動産クラウドファンディングの仕組みは、投資家が事業者に投資して、集まった資金で事業者が物件を購入し、得た利益を分配する、という流れになっています。
投資は結果が出るまでに多少の期間を要するため、投資後すぐに利益は得られませんが、投資後の手続きなどはすべて事業者が行うため、投資した側は何もせずに待つだけという大きな魅力もあります。
やめとけと言われる7つ理由
不動産クラウドファンディングはやめとけ、と言われる理由はきちんとあります。
今回は7つの理由をピックアップしてみました。
理由①元本割れ
ネガティブな意見としてもっとも多いのはやはり「元本割れが起きる可能性がある」という点になります。
・不動産価格の下落
・空室率の向上による利益減
・自然災害による不動産物件の倒壊・破損
・不動産クラウドファンディング事業者の倒産
元本割れの要因としては、上記の4つが主に挙げられます。
不動産クラウドファンディングで利益を得る仕組みは、基本的に現物不動産投資と同じです。
そのため、現物不動産投資と同様に元本割れしてしまうリスクがあるのです。
ただ、優先劣後方式を採用しているファンドを利用することや不動産クラウドファンディング事業者の倒産リスクを事前に把握しておくことで、元本割れのリスクを軽減させることができます。
不動産クラウドファンディングを始める際は、事前にしっかりと把握しておきましょう。
理由②事業者の信用度
不動産クラウドファンディングを提供する事業者は、一般にはあまり知られていない会社が多いことから、大事なお金を預けて大丈夫なのか心配だという意見も耳にしたりします。
不動産クラウドファンディングを行うには、不動産特定共同事業法(不特法)に基づく不動産特定共同事業のライセンスが必要になりますが2017年と2019年に大きな法改正が行われ、規制が緩和されたことにより、サービス事業者が増加し、業界が大きく盛り上がっていくことになりましたが、裾野が広がったことにより比較的小規模な不動産事業者も多く参入しており、中にはサービスを開始して間もない企業もあるため、どの事業者が信用できるのか慎重に見極める必要があります。
見極める際は、事業者の母体や出資元に注目してみると良いかもしれません。
出資元を調べてみると、上場している大企業なこともあります
そのような企業は信用度という点では特に高いと考えられます。
ワンポイント〜不動産特定共同事業法(不特法)とは〜
不動産特定共同事業法(不特法)とは、出資額を小口化した不動産について、投資家から出資を募り、売買・賃貸などの運用を行い、その収益を投資家に分配する事業について定めた法律です。
不動産クラウドファンディングなどの事業主の適切な業務運営を確保するとともに、投資家の利益保護が目的として施行されました。
理由③レバレッジ効果の低さ
レバレッジ効果とは、投資資金に対して高い利益を得ることを指します。
現物不動産投資では、自己資金に加えて金融機関からの融資を受け、自己資金以上の不動産を購入することが一般的です。
自己資金では手の届かない不動産物件を購入することができるため、高い収益を目指すことができます。
もちろん、自己資金以上の不動産物件を購入することからリスクは高いといえますが、レバレッジ効果は高いといえるでしょう。
一方、不動産クラウドファンディングは少額から投資をすることができますが、基本的に自己資金で投資しなければいけません。
現物不動産投資に比べてリスクは低いですが、自己資金以上の投資を行うことはできないため、レバレッジ効果は低いといえます。
理由④投資に対する高い壁
投資イコール多くの資金が必要と固定概念を持っている方が多くいるのも事実。
しかし、ほとんどの不動産クラウドファンディングサービスは1万円から投資が可能で、高くても10万円程度で投資できるサービスがほとんどです。
そんな固定概念と、利益が少ないという情報が合わさり、高い壁となってしまっています。
理由⑤途中解約ができない
原則として不動産クラウドファンディングでは途中解約をすることは原則できません。
そのため、一つの案件に集中して投資すると、不動産価格が下落した場合大きな損失を被ることになります。
また、多額の投資をして生活費に困ったとしても、すぐに現金化することができません。
ですので、計画的に投資することや分散投資をしてリスクを低減させることが重要となってきます。
最初は欲を出さずにまずは少額から、流れなどがわかってきたら、資金を増やすようにしましょう。
理由⑥早い者勝ちの場合がある
不動産クラウドファンディングでは二つの募集方式があります。
それは抽選式と先着式になります。
抽選式は、募集期間内に応募し当選することができれば必ず投資することができます。
ですので、募集期間内に応募すれば平等に投資のチャンスが与えられます。
しかし人気の案件の場合は、倍率が数十倍になることもあり、粘り強く応募をする必要があります。
先着式は、文字通り先着順でファンド募集を行い、目標金額に達したら募集終了となる募集方式のことです。
先着式では、目標金額に達するまでに応募を完了すれば確実に応募することができます。
しかし、人気の案件の場合募集開始から数分以内に目標金額に達してしまい応募できない場合があります。
そうした事態に備え、募集期間の確認を怠らず、時間に余裕を持って挑むようにしましょう。
理由⑦運用期間が短い
不動産クラウドファンディングでの運用期間は、3か月~36か月の期間が目安となります。
案件によっては、運用期間が36か月を超える場合もありますが、比較的短い期間であることが多いため、他の不動産投資と違って長期的な投資が出来ないと言えます。
不動産クラウドファンディングを長く続けたいのであれば、新しい案件を常に探す必要があります。
良い面もある不動産クラウドファンディング
ここまでの内容からすると、やはり良くないものなのでは、と思う方も多いかと思います。
しかし不動産クラウドファンディングはここ数年で急速に事業者や参加者が増えてきています。
その実績から、良くないものではない、ということもわかります。
物事には悪い面もあれば、良い面もあります。
不動産クラウドファンディングの悪い面が先程挙げた7つの理由だとすれば、良い面はこのようなことが挙げることができます。
①1口1万円から投資が可能
不動産クラウドファンディングの多くは、1口1万円から投資できるという手軽さを持ち合わせています。
現物の不動産投資と違い不動産クラウドファンディングであれば、少額の資金で手堅い投資先である不動産に投資してみる、ということが可能になります。
②手間がかからない
現物不動産投資は運用前には融資審査や売買契約といった煩雑な手続きが必要で、運用後は管理などの手間がかかります。
しかし、不動産クラウドファンディングであれば、運用前の事前準備も簡素化されており、運用中も事業者に運用を一任でき、ほったらかし運用が実現できます。
出資応募、出資、期間満了で償還金をもらうことができます。
③副業にも向いている
現物不動産投資に比べて手間がかからないため、副業としても始められます。
現物不動産投資では、不動産を売買する際や入居者と契約を結ぶ際に書類作成などの手間が生じたり、不動産における故障や事故など、あらゆるトラブルにも対応しなければいけません。
しかし、不動産クラウドファンディングでは、インターネット上で手続きを行い、不動産の運営や管理は全て事業者に任せることができます。
投資後は、分配金や元本の入金を待つだけなので、副業としても気軽に始められるというメリットがあります。
まとめ
不動産クラウドファンディングはやめとけ、といわれる理由について考えてみましたが、いかがでしたでしょうか。
不動産クラウドファンディングには、やめとけと言われる理由に納得できる部分もあります。
しかし、そんなマイナス面を補えるほどのプラス面があるのもまた事実です。
きちんと下調べを行ったり、人に判断を任せるのではなく、自身できちんと考えた上で始めるか、始めないかの判断をするようにしましょう。
監修:越智正道
東京都文京区にて税理士事務所を経営。
ファイナンシャルプランナーとしても活動しながら、税理士業務では、記帳代行、試算表の作成、ペイロール代行、決算書類の作成、経営分析、税務申告など、多岐にわたるサービスを提供。
クライアントには、IT関連、ブライダル、化粧品開発、飲食業、医療関連など、さまざまな業種が含まれており
相続対策や事業承継、IPO支援、人事・労務管理指導などの分野の知見も広く持つ。
特に、NPO法人や金融資産関連の税務コンサルティングに力を入れており、幅広いニーズに応えることを使命としています。
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