不動産クラウドファンディング〜源泉徴収についての知識を得よう〜

不動産クラウドファンディングでは源泉徴収がどうなっているのかご存知でしょうか?

今回は不動産クラウドファンディングの源泉徴収について詳細をお伝えしていきたいと思います。

源泉徴収についての知識が欲しい、合っているか確認したい、どんな手続きが必要なのか、自分は対象であるのかわからないという方必見です。

目次

源泉徴収とは?

源泉徴収とは、会社が従業員に給与・賞与などを支払う際に、一定金額を所得税として天引きして預かり、納税者本人に代わって税務署に納付する仕組みになります。

会社員だけでなく、個人事業主(フリーランス)に支払われる報酬(原稿料やデザインの報酬など)に関しても、源泉徴収の対象となる場合があります。

従業員に支払う給与の場合は、国税庁が公開している「源泉徴収税額表」などを基に、毎月の給与や賞与から源泉徴収税額を算出し、差し引くことになります。

個人事業主に支払う報酬の場合は、支払金額の10.21%(100万円を超える部分は20.42%)を所得税(および復興特別所得税)として源泉徴収し、税務署に納付する義務を支払い側が負うことを覚えておくことが大切です。

不動産クラウドファンディングの場合

不動産クラウドファンディングの事業者は、投資家に分配金を支払う前に一律20.42%の源泉徴収を行っています。

しかし、課税所得金額が695万円を超えない場合の税率は20%であるため、事業者が行っている源泉徴収では0.42%払い過ぎていることになります。

払い過ぎた税金は、確定申告を行うことによって変換されるため、課税所得金額が695万円を超えない場合は、確定申告を行うようにしましょう。

例えば給与の課税所得が300万円(=所得税率10%)で、不動産クラウドファンティングで分配金20万円を得た人の場合、

源泉徴収額 200,000円×20.42%=40,840円

総合課税額 200,000円×10.00%=20,000円

と源泉徴収税額が多く徴収されているため、確定申告することにより40,840円-20,000円=20,840円の所得税の還付を受けることができます。

申告義務がない人(給与所得以外の所得が20万円以下)でも、確定申告を行えば還付金を受け取れる可能性がありますので、税金を払い過ぎていないかチェックすると良いかもしれません。

確定申告のやり方

①必要書類の準備

確定申告を実際におこなう際は、下記の必要な書類を準備する必要があります。

□支払調書

不動産クラウドファンディングの事業者が投資家に対して分配金を支払う場合、源泉徴収によって所得税をあらかじめ税務署に納める決まりがあります。

各投資家にどれくらいの分配金を支払い、源泉徴収税を事前に納めたという証明をするために、1年分の分配金をまとめた「支払調書」が発行されます。

これを確定申告の際に各人が税務署に提出する必要があります。

□源泉徴収票

個人事業主・フリーラつンスの場合は、支払調書を利用します。

会社員や給与が支給される仕事についている場合には、所得証明として源泉徴収票が使用されるため、事前に準備が必要です。

会社に発行してもらいましょう。

□マイナンバーカードや身分証明書などの本人確認書類

マイナンバーカードや、まだ未発行の場合はその他身分証明書などの本人確認書類が必須となってきます。

手続きが1番簡単なのはマイナンバーですので、持っていない方は作成しておくのも良いかと思います。

もちろん作成したくないという方は他の身分証明書でも可能です。

②所得額等の確認

不動産クラウドファンディングでの確定申告は給与所得や退職所得以外の所得が20万円を超えた場合と、源泉徴収税額が正規の所得税額より多くなった場合のみ必要です。

まずは、自分自身の所得額を確認して、条件を満たしているのかを確認しましょう。

③確定申告書を作成

必要書類を全て取得したら、雑所得の金額や給与所得の金額を集計し、社会保険料控除、医療費控除などの各種控除の金額を控除して、所得税のかかる所得を算定し、実際の所得税を計算して確定申告書を作成します。

確定申告したら会社にバレないようしたい

副業はしたいけれど、「会社には知られたくない」「副業の所得を把握されるのは避けたい」と考える方もいるかと思います。

会社員の場合は通常、確定申告をすると、副業の所得と合わせた住民税額が給料から天引きされることとなり、副業の所得が把握されてしまいます。

副業の所得を会社に知られたくない場合には、確定申告書第二表にある「住民税に関する事項」の欄、「給与、公的年金等以外の所得に係わる住民税の徴収方法」で「自分で納付」に〇をつけてください。

こうすることで、副業による収入に関する住民税の通知は自宅に届き、その分の住民税は自分で納付することになるので、会社に副業の存在がバレる心配はありません。

副業を会社にもバレないように行うためにも、このような細かなところにも注意する必要があります。

申告を忘れてしまった場合

人間誰しもが、うっかり忘れてしまう場合もあります。

期限後に確定申告を忘れたことに気づいた場合は、可能な限りすみやかに申告を行わなければなりません。

期限を過ぎての確定申告は「期限後申告」となり、本来納めるべき税金に加えて延滞税などのペナルティが発生します。

確定申告をしないまま放置していると「無申告」となり、悪質な税金逃れと判断されるおそれがあります。

そうなった場合、延滞税だけではなく無申告加算税が加算されるなど、ペナルティが重くなってしまいます。

もし期限を過ぎてしまったとしても、できるだけ早く申告することが大切です。

確定申告は、期限に遅れたもののみずから申告する「期限後申告」と、期限を過ぎても申告しないままでいた「無申告」では、ペナルティの内容が異なります。

以下が確定申告に関するペナルティになります。

■延滞税

所得税を納付期限までに納めなかったときは、期限の翌日から完納する日までの日数に応じて延滞税が発生します。

延滞税の最高税率は14.6%です。

所得税の納付期限は、確定申告の申告期限と同じです。

期限までに確定申告をしていなければ、当然期限内の納税はできません。

この場合、本来納めるべき税額に加えて、遅れた日数分の延滞税が課されることになります。

期限内に確定申告をしても、振替納税を選択し、預貯金口座の残高不足などで振替ができなかったという場合、延滞税が発生するので注意してください。

■無申告加算税

無申告加算税は、期限内に確定申告を行わなかった場合に発生するペナルティです。

原則として、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の金額が加算されます。

※ただし、税務署の指摘を受ける前にみずから期限後申告をした場合は、無申告加算税の税率は5%に軽減されます。

また、期限後申告であっても、次の要件をすべて満たす場合は、無申告加算税は課されません。

・確定申告の期限後、1か月以内に自主的に確定申告をしている

・期限後申告にかかる税額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに全額納付している

・期限後申告書を提出した日の前日から過去5年間に無申告加算税または重加算税を課されたことがない

■過少申告加算税

過少申告加算税は、確定申告で申告・納付した税額が、本来納めるべき税額より少なかった場合に発生するペナルティです。

申告した税額が本来より少ないことに気づいたら、できる限り早く修正申告をしてください。 もし、税務署の調査を受けた後で修正申告をしたり、税務署から誤りを正されたりすると、新たに納める税金の他に過少申告加算税がかかります。

ちなみに過少申告加算税の税率は、新たに納める税金の10%になります。

ただし、新たに納める税金が、当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い方の金額を超えている場合は、超えている部分については15%になります。

■重加算税

重加算税は、納めるべき税金を意図的に隠蔽したり仮装したりした場合に課せられるペナルティです。

たとえ期限内に確定申告をしていても、帳簿の改ざんなど虚偽の申告をしていた場合は、重加算税が加算される可能性があります。

重加算税は、過少申告の場合は過少申告加算税に代えて本来納める税額の35%が、無申告だった場合は無申告加算税に代えて40%が加算される大きなペナルティです。

さらに、5年以内に無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合は、それぞれ10%が加算されます。

追徴課税を納付できず滞納すると、財産差押えになる可能性もあります。

また、繰り返し重加算税を課されるなど、悪質だと認められた場合には刑事罰が科されることもありますので注意しましょう。

まとめ

源泉徴収や確定申告の知識について少しでもお役に立てましたでしょうか?

自身の持っている知識とすり合わせをしてみてくださいね。

不動産クラウドファンディングなどで利益(収益)を得るということは、源泉徴収や確定申告などの問題にどうしても突き当たってしまいます。

始める前に予め知識を持っておくことによって、どのような場合でも対処することができますので、ぜひ覚えておいてください。

監修:越智正道

東京都文京区にて税理士事務所を経営。

ファイナンシャルプランナーとしても活動しながら、税理士業務では、記帳代行、試算表の作成、ペイロール代行、決算書類の作成、経営分析、税務申告など、多岐にわたるサービスを提供。

クライアントには、IT関連、ブライダル、化粧品開発、飲食業、医療関連など、さまざまな業種が含まれており

相続対策や事業承継、IPO支援、人事・労務管理指導などの分野の知見も広く持つ。

特に、NPO法人や金融資産関連の税務コンサルティングに力を入れており、幅広いニーズに応えることを使命としています。

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