「卵を一つのカゴに盛るな(Don’t put all your eggs in one basket)」
これは投資の世界で古くから語り継がれる、最も有名な格言の一つです。
すべての卵(資産)を一つのカゴ(投資先)に入れてしまうと、
そのカゴを落としたときにすべて割れて失ってしまうリスクがある、という戒めです。
しかし、いざ個人の資産運用となると
「具体的に、何を・どの割合で持てばいいのか」という問いに絶対的な正解はありません。
年齢、資産規模、家族構成によってリスク許容度が異なるためです。
そこで一つの指標となるのが、
私たちの年金を運用している「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」の運用スタイルです。
運用のプロフェッショナルであるGPIFは、どのような比率で資産を配分しているのでしょうか。
本記事では、GPIFの「基本ポートフォリオ」を紐解きながら、
個人投資家が「不動産クラウドファンディング」をどうポートフォリオに組み込むべきか、
その具体的な比率の考え方を解説します。
なぜGPIF(公的年金)の構成割合が参考になるのか
GPIFの運用総額は200兆円を超え、世界最大級の機関投資家として知られています。
個人投資家がGPIFのポートフォリオを参考にすべき理由は、
その運用の「目的」が私たちの老後資産形成と非常に近いためです。
- 長期・分散・積立の王道: 短期的な利益を追わず、数十年単位での安定的な成長を目指している。
- リスクコントロール最優先: 「大儲け」することよりも、「必要な利回りを確保しつつ、大きなマイナスを出さない」設計になっている。
つまり、GPIFのポートフォリオは、
ギャンブル的な要素を極力排除した「負けないための資産配分」の教科書と言えます。
※出典:GPIF 2024年度の運用状況
【2026年最新】GPIFの基本ポートフォリオの内訳
では、実際にGPIFはどのような資産配分(アセットアロケーション)を目標としているのでしょうか。
GPIFが策定している「基本ポートフォリオ」の構成割合は以下の通りです。
■ GPIF 基本ポートフォリオの構成割合
| 資産クラス | 構成割合(目標値) | 役割と特性 |
| 国内債券 | 25% | 守り:リスク(価格変動)が最も小さく、安定運用を支える土台。 |
| 外国債券 | 25% | 守り・分散:国内金利だけの影響を受けないよう、通貨・地域を分散。 |
| 国内株式 | 25% | 攻め:日本経済の成長に伴うリターン(収益)を狙う。 |
| 外国株式 | 25% | 攻め・分散:世界経済の成長を取り込み、高いリターンを狙う。 |
「攻め」と「守り」のバランスは50:50
このグラフから読み取れる重要なポイントは、
「株式(攻め)」と「債券(守り)」をきれいに50%ずつ保有しているという点です。
また、国内資産と外国資産も50%ずつに分けられており、特定の国や特定の資産クラスが暴落しても、
全体としてのダメージを最小限に抑える仕組み(相関の分散)が徹底されています。
【重要】「オルタナティブ資産」としての不動産投資
さらに注目すべきは、この基本ポートフォリオの枠組みの中で認められている「オルタナティブ資産」の存在です。
GPIFでは、株や債券といった伝統的な資産とは異なる値動きをする資産として
「インフラストラクチャー」「不動産」「プライベートエクイティ」などのオルタナティブ資産を
ポートフォリオ全体の5%を上限として組み入れることが認められています。
GPIF公式サイトより引用:
オルタナティブ資産(インフラストラクチャー、プライベートエクイティ、不動産)については、経済成長に伴う果実の享受や株式・債券との分散効果が期待されることから(中略)ポートフォリオ全体の5%を上限に保有することとしています。
出典:GPIF「基本ポートフォリオの考え方」
これは、運用のプロであっても「株と債券だけでは分散が不十分」と考えており、
不動産などの実物資産を一定割合(5%程度)組み入れることが、
リスク低減と収益安定に有効であると判断している証拠です。
個人投資家が「現金・株」だけで運用するリスク
GPIFはポートフォリオの50%を「債券(国内・外国)」で持っています。
債券は株式と異なる値動きをし、守りの資産として機能するためです。
しかし、私たち個人投資家がGPIFの真似をして「資産の半分を債券にする」のは現実的ではありません。
個人向けの国債は利回りが低く、外国債券は為替手数料や単価のハードルが高いケースが多いためです。
その結果、個人の資産運用は
「現預金(リスクなし・リターンなし)」と「株式・投資信託(ハイリスク・ハイリターン)」の極端な2つに偏りがちです。
ここには2つの大きなリスクが潜んでいます。
現金(預金)だけのリスク:インフレによる目減り
「元本が減るのが怖いから」と資産の大半を銀行預金に置いている方は多いですが
インフレ(物価上昇)局面では、現金の価値は相対的に目減りしていきます。
総務省が公表する「消費者物価指数(CPI)」を見ると
近年の日本は食料品やエネルギー価格を中心に物価上昇が続いています。
仮に物価が年2.0%上昇するインフレ下において、銀行の普通預金金利が年0.02%〜0.1%程度(※)だとすると、
預けているお金の実質的な価値は毎年約1.9%ずつ減っていくことになります。
「守り」のつもりで持っていた現預金が、実は「インフレリスクに対して無防備」である点には注意が必要です。
※参考:日本銀行「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等」
※参考:総務省統計局「消費者物価指数」
株式だけのリスク:相場変動と精神的負荷
一方、NISA(少額投資非課税制度)などで株式や投資信託(S&P500やオール・カントリー等)への投資比率が高い場合
「ボラティリティ(価格変動)」のリスクに直面します。
株式は、経済情勢によって短期間で資産価値が20〜30%下落することも珍しくありません。
GPIFのように「何十年も保有し続ける」という強い意志があれば回復を待てますが
個人の場合、暴落の恐怖で狼狽売りをしてしまったり、精神的なストレスを抱えたりするケースが後を絶ちません。
「株と同じ動きをする資産」ばかり持っていると、暴落時に資産全体が大きく傷つきます。
そこで必要になるのが、株とは異なる動きをする資産(非相関資産)です。
ポートフォリオにおける「不動産クラウドファンディング」の役割
ここで選択肢として浮上するのが、「不動産クラウドファンディング」です。
個人投資家のポートフォリオにおいて、不動産クラウドファンディングは主に2つの重要な役割を果たします。
1. ミドルリスク・ミドルリターンの「債券的な役割」
GPIFが持つ「債券」の代わりとして、不動産クラウドファンディングは非常に相性が良い金融商品です。
- 預金より高く、株より安定:多くのファンドで想定利回りが3.0%〜8.0%程度(※物件や事業者による)に設定されており、預金以上のリターンを狙いつつ、株式のような日々の激しい価格変動がありません。
- 心理的な安定性:原則として運用期間終了まで保有するため、「今の価格はどうなったか」と毎日チャートを気にする必要がありません。これは長期投資を継続する上で大きなメリットです。
2. インフレヘッジとしての実物資産性
不動産は「実物資産」であり、一般的にインフレに強いとされています。
物価が上がれば、建物の建築コストや土地の価格も上がり、それに伴って賃料も上昇する傾向があるためです。
ペーパーアセット(株や債券)だけでなく
裏付けとなる「現物(不動産)」を持つことは、現金の価値下落に対する有効な保険(ヘッジ)となります。
【タイプ別】ポートフォリオ比率のシミュレーション
では、具体的に「総資産の何%」を不動産クラウドファンディングに配分すべきでしょうか。
GPIFの考え方を応用し、リスク許容度に合わせた2つのパターンをシミュレーションします。
パターンA:堅実派(守り重視)
「元本割れは極力避けたいが、預金だけでは将来が不安」という方
- 現金(預金):50%
- 生活防衛資金や、近いうちに使う予定のあるお金。
- 不動産クラウドファンディング:20%
- 「優先劣後システム」を採用しているファンドを中心に選択。万が一物件価格が下落しても、一定割合までは事業者が損失を被る仕組みがあるため、比較的リスクを抑えられます。
- 株式・投資信託:30%
- つみたてNISA等を活用し、超長期での成長を期待する枠。
パターンB:積極派(資産形成期)
「多少のリスクをとってでも、効率よく資産を増やしたい」という方(GPIFに近い構成)
- 現金(預金):20%
- 最低限の生活防衛資金のみ確保。
- 不動産クラウドファンディング:30%
- ここでは国内の安定型ファンドだけでなく、海外不動産を対象としたファンドなども組み入れることで、GPIFの「外国資産分散」の考え方を取り入れます。円安リスクへの備えとしても機能します。
- 株式・投資信託:50%
- 全世界株式などを中心に、積極的にキャピタルゲイン(値上がり益)を狙います。株価暴落時には、不動産クラファンの分配金が心の安定剤(クッション)となります。
不動産クラウドファンディングを組み入れる際の注意点と選び方
ポートフォリオに組み込む際は、メリットだけでなく特有のリスクも理解しておく必要があります。
流動性リスク(原則、途中解約不可)
不動産クラウドファンディングは、J-REIT(上場不動産投信)や株式とは異なり、
原則として運用期間中の途中解約ができません(※一部、譲渡可能なサービスも存在しますが一般的ではありません)。
「急に現金が必要になったから売る」ということができないため、
必ず「当面使う予定のない余裕資金」で行うことが鉄則です。
生活費まで投資に回してはいけません。
事業者リスクと分散投資の重要性
「卵を一つのカゴに盛るな」の格言通り、不動産クラウドファンディング内でも分散が必要です。
一つのファンド、あるいは一つの事業者に集中投資をしてしまうと、
万が一その事業者が倒産した場合や、その物件でトラブルがあった場合に資産へのダメージが大きくなります。
- 時間の分散: 一度に全額投資せず、募集時期をずらす。
- 対象の分散: 居住用マンション、商業ビル、海外不動産など、タイプやエリアを分ける。
1万円〜10万円程度の少額から投資できるサービスを活用し、複数の「カゴ」を持つことが、リスクを抑える鍵となります。
まとめ|GPIFに学ぶ「負けない投資」への第一歩
GPIFの運用が示唆しているのは、
「異なる値動きをする資産を組み合わせることこそが、長期的に安定したリターンを生む」という事実です。
- 現金だけではインフレに勝てない。
- 株だけでは暴落時に耐えられない。
その間を埋める「ミドルリスク・ミドルリターン」の資産として、不動産クラウドファンディングは、
個人のポートフォリオを補強する強力な選択肢となります。
特に、GPIFも上限5%を目安に「オルタナティブ資産」への投資枠を設けているように、
まずは資産全体の5%〜10%程度から、不動産投資を始めてみてはいかがでしょうか。
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