トラックファンドって知ってる?その概要と不動産クラウドファンディングとの比較調査

トラックファンドという言葉を聞いたことはありますでしょうか?
「トラック」という名前がつくため、トラックに関係するものだと分かっていても、実際にどんなことを指すのか知らないという方も多いかと思いのではないでしょうか。
そこで今回は、トラックファンドとは一体どういったものなのか、どんな利点などがあり、どういった車両を取り扱っているのかなどに焦点を当てていきます。

目次

トラックファンドとは?

トラックファンドは事業型ファンド(※1)の1つで、投資家から集めた資金をもとに購入したトラックやトレーラーを運送会社にリースし、そのリース料を配当とする金融商品になります。
トラックファンド」という言葉は株式会社リアライズコーポレーションの商標で、同様の金融商品にモビリティファンドがあります。
モビリティファンド」は、株式会社クラウドファンディングの商標です。
トラックファンド(モビリティファンド)は不動産売却益のある方や航空機オペレーティングリース償還金のある方、太陽光事業の利益のある方などをはじめ、事業保険の代替商品としても好評のようです。
※1事業型ファンドとは、企業や団体などが事業運営のための資金を調達するべく組成されるファンドのことを指します。
ちなみに不動産クラウドファンディングとの違いは、投資対象がトラックや車両であるか、不動産であるかです。

トラックファンドの仕組み


トラックファンドは、先程記載したように投資家から集めた資金をもとに購入したトラックやトレーラーを運送会社にリースし、そのリース料を配当とする金融商品になります。
リースの形式は日本の運送会社で主流の「ファイナンスリース」とは異なり、借り手が設備を保有しない「オペレーティングリース」と呼ばれるものです。

ファイナンスリース
借り手が必要とする物件(トラック)をリース会社が購入し、それを貸し出す賃貸借契約になります。
基本的にはノンキャンセラブル(中途解約不可)で、リース期間中に物件価額、金利・諸税・保険料等を含めたすべての費用を定額月払いで支払う(フルペイアウト)契約です。

オペレーティングリース
オペレーティングリースは、ファイナンスリース以外のリース取引のことを指します。
リース期間満了時の物件価値(残存価額)をあらかじめリース会社が見積もることでリース料の軽減が図れる ほか、一定の条件のもと借り手の希望に応じたリース期間設定が可能です。
また、車両が借り手所有ではないため諸費用が抑えられるという点も特徴の1つで、リース期間終了後に残る車両の価値を見込んでリース料を設定し、減価償却を行う期間(耐用年数)が経過した後に残る価値が車両価格から差し引かれるため、支払うリース料の総額は車両価格より低くなる点もメリットと言えます。
トラックやトレーラーのリース料を投資家に分配するには、車両をリースする運送会社が必要となってきます。
オペレーティングリースという運送会社にメリットの大きい方式を選択することで「出資金で車両を購入したものの、リース先がない」というリスクも抑えられます。

不動産クラウドファンディングとの比較

次に、不動産クラウドファンディングとトラックファンド、どちらに投資した方が自分に合っているのか、どのような利点が違ってくるのかなどを比較したいと思います。

①投資期間
不動産クラウドファンディング
運用期間によって「短期(ファンド)」と「長期(ファンド)」に分かれていて、 短期ファンドは3ヶ月〜1年未満程度、長期ファンドは1〜10年程度の運用期間であることが一般的です。

トラックファンド
トラックファンドの運用期間は、減価償却が必要となる耐用年数に合わせてあるのが一般的です。トラックの法定耐用年数は新車で3~5年となっています。

②節税効果
不動産クラウドファンディング
不動産クラウドファンディングは節税目的には使えません。
ただし、運営事業者によって20.42%の源泉徴収が行われているため、確定申告によって源泉徴収で払い過ぎた分が返金されることはあります。

トラックファンド
トラックファンドのオペレーティングリースでは、リース会社による匿名組合契約が利用されます。
※匿名組合……投資家から募った出資金をもとに事業を行い、そこで生じた利益を投資家に分配することを目的とした契約(ファンド)のこと。
このときトラックファンドでは、リース期間の前半に匿名組合の費用となるトラックの減価償却費の大部分が計上されることにより損失が発生する仕組みになっています。
ここで発生した損失は各出資者に分配され、出資者が法人の場合には、その法人の利益と相殺できることから節税効果が得られます。

③利回り
不動産クラウドファンディング
不動産クラウドファンディングの利回りは、投資対象や商品性、利用するサービスなどによって異なりますが、平均で3~8%程度とされています。

トラックファンド
現在情報が公開されている株式会社クラウドファンディングのモビリティファンドでは、想定利回りを1~4%となっています。
非常に需要の高い分野で、安定的な利回りを得られる投資商品となっています。

④必要資金
不動産クラウドファンディング

1口1万円からと一般の方でも比較的手が出しやすい投資となっています。
 
トラックファンド
モビリティファンドでは、500万円から購入可能となっており、一般向けというよりは法人や本腰を据えている投資家向けとなっています。

⑤元本割れのリスク
不動産クラウドファンディング

不動産クラウドファンディングにおいて元本割れがおこるのは売却金額が購入金額を下回る、想定どおりのインカムゲインが得られない等の場合です。
しかし不動産クラウドファンディング事業者が共同出資者となり、ある程度の割合の劣後出資をしている案件であれば、元本割れのリスクは非常に低く抑えられると言えます。

トラックファンド
トラックやトレーラーのリース料金を投資家に分配するシステムであることから、安定性は高いものの、リース先が倒産してしまう、何らかの理由によりリース料の支払いが不可能になってしまった等の場合には、元本割れリスクがあります。
また、リース後の車両売却によって得られる収益が、中古車の相場の変動によって見込みよりも下回ってしまった場合も、元本割れとなる可能性があります。

5つの項目において、不動産クラウドファンディングとトラックファンドの比較をしてみました。
同じ投資でも、①〜⑤の項目、全く違うことがわかります。
これらをぜひ今後の参考にしてみてくださいね。

トラックファンドをはじめるにあたっての注意点


①交通事故・盗難・車両故障などのリスク
盗難や交通事故、車両の故障等による車両の破損に対して、責任を負うのはリース先になります。
きちんと車両保険に加入していても、修理会社や修理内容、保険会社等の都合より、支払いに時間がかかる場合や、最終的な車両価値が下がってしまう場合もあります。
そのような場合、元本割れに繋がるリスクがあります。
予期できない突発的なリスクがあることは、予め考慮した上で、投資を行うように心がける必要があります。

②扱っている事業者の数
トラックやトレーラーを運送会社側にメリットの大きいオペレーティングリースによるリース事業を行っている企業が少ないことも現状としてあります。
金融商品として扱う事業者が少ないことが現状の一因となっています。
その辺りのことも始める前にしっかりと把握しておきましょう。

取り扱っている主な車両


以下はトラックファンドにて取り扱っている主な車両になります。

トラクタヘッド
自走機能を持たないトレーラーを牽引する車両になります。
荷物の積み下ろしをしなくても、牽引するトレーラー部分を入れ替えるだけですぐに発進することが可能です。

トレーラー(ウイング)(アオリ付)
トラクタヘッドに接続された荷台部分を「トレーラー」といいますが、ウイングは荷台の左右が翼のように開く車両のことを指します。
また、トラックの荷台を覆う囲いを「アオリ」といいます。
アオリを荷台の側面や後ろに取り付けると、荷物の落下防止にもなります。

コンテナシャシ
車両に連結したシャシに、海上コンテナなどのコンテナを載せて運搬する車両になります。

ウイングトラック(大型)
ウイングトレーラーと同じく、荷台の左右が翼のように開く車両のことを指します。
大型車は10tトラックと呼ばれることもあります。

冷蔵冷凍車(バン)
荷台に冷凍装置がついている車両を指します。
温度の調整ができ、生鮮食品や冷凍食品などを運ぶことができる車両になります。

まとめ


トラックファンドについて、少しでも理解を深めることはできましたでしょうか?
この記事を読んで、トラックファンドに興味が出てきた、不動産クラウドファンディングとの違いがわかった、などと思っていただけると幸いです。
また、不動産クラウドファンディングももちろんそうですが、トラックファンドを始める際は、メリット部分だけでなく、デメリット部分もよく理解した上で始めるようにしましょう。

監修:越智正道
東京都文京区にて税理士事務所を経営。
ファイナンシャルプランナーとしても活動しながら、税理士業務では、記帳代行、試算表の作成、ペイロール代行、決算書類の作成、経営分析、税務申告など、多岐にわたるサービスを提供。
クライアントには、IT関連、ブライダル、化粧品開発、飲食業、医療関連など、さまざまな業種が含まれており
相続対策や事業承継、IPO支援、人事・労務管理指導などの分野の知見も広く持つ。
特に、NPO法人や金融資産関連の税務コンサルティングに力を入れており、幅広いニーズに応えることを使命としています。

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