不動産を購入すると課される不動産取得税ですが、一定の要件を満たす住宅や土地については、税負担が軽くなる軽減措置が設けられています。
手続きのタイミングによっては、一度納めた税金が後から戻ってくる「還付」を受けられる場合があります。
この記事では、不動産取得税の還付手続について、軽減措置が適用される条件や申請期限、必要書類などを詳しく解説します。

不動産取得税の還付とは?軽減措置で納めすぎた税金が戻る仕組み
不動産取得税の還付とは、軽減措置の適用によって本来より多く納めた税金が、申請手続きを経て手元に戻ってくる仕組みのことです。
なぜこのような還付が発生するかというと、不動産の取得から軽減措置の申請までにタイムラグがあるためです。
通常、不動産取得後に都道府県から納税通知書が届きますが、この時点では軽減が適用されていない満額の税額が記載されていることが多く、一度その金額を納付した後に還付請求権に基づき差額の返還を求めることで、納めすぎた税金が戻ってきます。
【ケース別】不動産取得税の還付(軽減措置)が適用される条件
不動産取得税の軽減措置は、主に個人が自己の居住用として取得したマイホーム(住宅)を対象としています。
新築・中古の戸建てやマンションなど、建物の種類は問いません。
ただし、事務所や店舗などの事業用不動産や、法人が取得した不動産、投資用物件は原則として対象外です。
また、相続による取得など、そもそも不動産取得税が非課税となるケースとは異なる制度です。
ここでは、住宅の種類別に軽減措置の適用要件を解説します。
新築住宅で軽減措置を受けるための床面積などの要件
新築住宅(新築マンションやアパートを含む)で固定資産税の軽減措置を受けるには、床面積の要件を満たす必要があります。具体的には、居住部分の床面積が50平方メートル(一戸建て以外の賃貸住宅の場合は40平方メートル)以上280平方メートル以下であることが条件です(新築時期によって要件が異なる場合があります)。この要件を満たす家屋は、固定資産税が一定期間2分の1に減額されます。一般の住宅は新築後3年間、3階建て以上の中高層耐火住宅は新築後5年間、固定資産税が2分の1に減額されます。
また、長期優良住宅の認定を受けた新築住宅の場合は、軽減される期間が一般住宅で5年間、中高層耐火住宅で7年間に延長され、さらに税負担が軽くなります。
中古住宅で軽減措置を受けるための築年数や耐震基準
中古住宅(中古マンションを含む)の場合、床面積要件(50㎡以上240㎡以下)に加えて、1982年(昭和57年)以降に建築された新耐震基準適合住宅であることが必要です。新耐震基準適合住宅であれば、築年数にかかわらず軽減措置の対象となります。
住宅用の土地で軽減措置を受けるための取得時期などの条件
住宅用の土地についても、軽減措置が適用される場合があります。
土地を取得してから3年以内にその土地の上に軽減要件を満たす住宅を新築した場合や、住宅を新築してから1年以内にその敷地となる土地を取得した場合などが対象です。
この場合、「45,000円」または「土地1㎡あたりの固定資産税評価額×住宅の床面積の2倍(上限200㎡)×税率3%」のいずれか多い方の金額が、土地の税額から減額されます。
【4ステップで解説】不動産取得税の還付申請手続きの具体的な流れ
不動産取得税の還付申請は、正しい手順に沿って進めることが重要です。
手続きの全体像を把握しておくことで、スムーズに申請を進められます。
ここでは、納税から還付金の受け取りまで、不動産取得税の還付申請の具体的な流れを4つのステップに分けて解説します。
この方法に沿って申請を行えば、納めすぎた税金を取り戻すことができます。
STEP1:不動産を取得後に一度、納税通知書通りに税金を納付する
不動産を取得して数ヶ月後、管轄の都道府県税事務所から納税通知書が送付されます。
還付を受けるためには、まずこの納税通知書に記載された金額を、全額納付する必要があります。
このタイミングで届く通知書は、軽減措置が適用される前の税額であることが多いため、納税後に還付申請を行うのが一般的な流れです。
STEP2:還付申請に必要な書類を準備する
納税が完了したら、次に還付申請に必要な書類の準備を進めます。
中心となる「不動産取得税減額(還付)申請書」は、各都道府県税事務所のウェブサイトからダウンロードできます。
その他、売買契約書の写しや建物の登記事項証明書など、物件の状況に応じて複数の書類が必要になるため、あらかじめ確認して漏れなく揃えましょう。
STEP3:管轄の都道府県税事務所の窓口または郵送で申請する
必要書類がすべて揃ったら、不動産の所在地を管轄する都道府県税事務所へ申請します。
多くの都道府県では、窓口への直接提出または郵送での申請を受け付けています。
提出先は国税を扱う税務署ではなく、県税を扱う「県税事務所」なので注意が必要です。
東京や大阪、京都など日本全国で手続きの窓口は都道府県となります。
自治体によってはオンライン申請が可能な場合もあります。
STEP4:申請から約1〜2ヶ月後に指定口座へ還付金が振り込まれる
申請書類を提出し、内容に不備がなければ、審査が行われた後に還付金が指定の金融機関口座に振り込まれます。還付金の振込時期は、申告内容や提出方法によって異なります。例えば、国税庁によると所得税等の還付金は、確定申告期間中に提出された場合はおおむね1か月から1か月半程度で振り込まれ、e-Taxで提出された場合は3週間程度で処理されるとされています。また、還付金に関する通知の有無も、自治体や税の種類によって異なります。
不動産取得税の還付申請に必要な書類一覧
不動産取得税の還付申請をスムーズに進めるためには、あらかじめ必要書類を正確に把握し、準備しておくことが重要です。
取得した不動産が新築か中古か、あるいは土地かによって、求められる書類が異なります。
ここでは、申請に必要となる書類をケース別に解説します。
【共通】全ての申請で基本的に必要となる書類
不動産取得税の還付申請には、一般的に以下の書類が必要となる場合がありますが、自治体や取得状況によって異なるため、事前に確認が必要です。
不動産取得税減額(還付)申請書
不動産取得税の納税通知書および領収証書
売買契約書の写し
建物の登記事項証明書(全部事項証明書)
住民票の写しなど、入居の事実が確認できる書類
新築住宅の場合は、上記に加えて建築確認済証の写しの提出が求められることがあります。
【中古住宅の場合】築年数要件を満たさない場合に必要となる書類
取得した中古住宅が築年数要件(木造20年、非木造25年)を超える場合、または登記簿上の建築日付が昭和56年12月31日以前である場合は、共通の書類に加えて、建物が新耐震基準を満たしていることを証明する書類が必要となる場合があります。具体的には、「耐震基準適合証明書」や「既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書」などが該当します。これらの書類は、売主側の不動産会社などを通じて入手するのが一般的です。
還付申請の期限はいつまで?納税後5年以内なら手続き可能
不動産取得税の還付申請には期限があります。
この期限は、税金を納付した日の翌日から起算して5年以内です。
不動産を取得した日から60日以内に行う「申告」を忘れた、あるいは過ぎてしまった場合でも、一度税金を納めてから5年以内であれば還付請求は可能です。
過去の取引で申請を忘れていた物件がないか確認してみましょう。
3年や6か月といった短い期間ではないため、諦めずに手続きを進めることが大切です。
還付金はいくら戻る?控除額の計算方法とシミュレーション
新築住宅の場合、不動産取得税の軽減措置により、課税標準となる固定資産税評価額から最大1,200万円が控除されます。この控除後の金額に税率3%を掛けたものが不動産取得税の本来の税額です。軽減措置の適用により、既に納付した税額が過剰であると判断された場合には、不動産取得税の還付を請求できることがあります。特に宅地取得についても特例で課税標準額が半減される場合があり、還付対象となる可能性が高まります。具体的な還付金額はケースによって異なりますが、数十万円単位になることもあります。ただし、固定資産税は原則として還付ではなく減額されるものです。市町村の過失による誤適用などで納め過ぎた固定資産税がある場合は還付されることがありますが、その場合も申請期限があるので注意が必要です。
不動産取得税 還付に関するよくある質問
ここでは、不動産取得税の還付請求に関して、多くの方が抱く疑問点について回答します。
申告期限を過ぎてしまった場合や、納税前に税額を安くする方法など、具体的なケースを想定したQ&A形式で解説します。
還付請求の手続きを進める中で、もし該当する項目がなかった場合でも、管轄の都道府県税事務所へ問い合わせることで解決できる可能性があります。

申告期限の60日を過ぎてしまった場合、もう還付請求はできませんか?
いいえ、還付請求は可能です。
不動産取得から60日以内の申告期限を過ぎた場合でも、納税した日の翌日から5年以内であれば、納めすぎた税金の還付を請求できます。
一度満額を納税した後、必要書類を揃えて管轄の都道府県税事務所へ還付申請を行ってください。
還付申請に必要な「登記事項証明書」はどこで入手できますか?
「登記事項証明書」は、不動産の所在地を管轄する法務局のほか、全国どの法務局の窓口でも取得できます。
また、オンラインの「登記・供託オンライン申請システム」を利用すれば、郵送で受け取ることも可能です。
オンライン請求は窓口より手数料が安く設定されています。
納税通知書が届いた後、支払う前に税額を安くすることは可能ですか?
はい、可能です。
納税通知書を受け取った後、納付期限前に管轄の都道府県税事務所へ連絡し、軽減措置を受けたい旨を申告してください。
必要書類を提出すれば、軽減が適用された税額の納付書に差し替えてもらえる場合があります。
これにより、一度全額を納めてから還付を受ける手間を省けます。
まとめ
不動産取得税の軽減措置は、条件を満たすことで税負担を大きく減らせる重要な制度です。
もし軽減措置の適用を申告する前に満額の税金を納付してしまった場合でも、納税後5年以内であれば還付申請が可能です。
手続きにはいくつかの書類が必要ですが、この記事で解説した流れを参考に、忘れずに申請を行いましょう。
不明な点があれば、不動産の所在地を管轄する都道府県税事務所に問い合わせることをお勧めします。


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